20220930

まぶたに菫

ムアンド ベターザンアイス N02 ドライバイオレット 

コスメを何を理由に買うのかと言えば、私はネーミングが理由なことがわりとある人間だと思います。このロムアンドのアイシャドウも7割くらいは商品名に惹かれて買いました。その名もドライバイオレット。乾燥スミレ?でいいのか? 
ここ数年ブラウン方面に寄っていたメイクの色を少しピンク・青み方面に寄せたいなと思っていたのもあり。ちょうどいいかなと買ってみました。

バイオレットといっても紫というよりスモーキーな青みブラウンという感じの色。影色みたいな。デパコス的な質感とはもちろん違いますけど雰囲気が良いです。基本ブルベの人向きだと思いますがイエベの人が敢えて使ってもかっこいいのかもしれない。
韓国コスメって詳しくないですが、独特の今っぽい色合いがよく考えられて作られてると私でも分かるし、リーズナブルだし、使い方でマットorラメありも変えられるし(ラメが1色に集約されている)、そりゃ若い子はみんな買うわけだよなあと。


スミレは化粧品の名前としては多くはないけどなくはないくらいかなと思います。花だしね。印象的なのはSUQQUの春菫とかセザンヌにあったスミレブラウンとかかなあ。どっちも持ってませんが。あとネイルカラーにもわりとあるのでは。
香水の香りならそれこそ昔からたくさんありますよね。スミレがメインのフレグランスで今パッと浮かんだのはゲランのアプレロンデかな。アプレロンデ、多分私が人生で最終的に落ち着くのってこの辺なんだろうなと昔からなんとなく思いつつ、故にまだいいかな……と入手を引き延ばして十年くらいになる気がする。香水ってなんか「最終回答」までの道のりを引き延ばしたいみたいな謎の欲が出るのは何故だろう。単なる優柔不断か。

ついでに他に最近よく使うアイシャドウなども。
手前のラポドゥジェムもメイドインコリアなのですが、ブランドとしては日本のものです。日本の感覚が一枚挟まっているだけあって、ここの色出しは日本人になじみやすいと思う。おしゃれだし。
奥はディオールのショウモノのミネラルという色。結構前に買ったものなのですが最近久しぶりに使ってます。この色、私の肌だと妙な発色をするんですよ。合っているか否かだと微妙に合ってないのだと思いますが、それがなんだか面白くて。

ちなみに手持ちのアイシャドウはこの3つとあと1つで全て。私は所有している全部のメイク用コスメがこのメイクボックスというか工具箱に余裕で収まります。なんならスカスカ。
一回のメイクに使うものは更にその内の3分の1くらい。なぜならば基本的に毎日同じメイクをし続ける人間ですゆえ。バリエーションがないのだな。「日」単位だと同じで、「月」とか「年」単位で時代や気分に合わせて少しづつ色味や質感を入れ替えていく感じです。服がいつも大体同じだからできることかもなあ。
あ、容器やデザインのためにコレクションで保存している昔のコスメはまた別にありますけども。でもそれも大量とかではないかも。

20220923

60年前のロゴTシャツ

ダール逝去のニュース記事を見てそうかあの映画もこの映画もゴダールなんだよなあ……としみじみしていて、ふと思い出した手持ちの洋服がひとつあり。
ニューヨーク・ヘラルドトリビューンと古い新聞社の社名が黒字で刺繍された白のニット。ハイネックで半袖。これは何かというと、これです。

「勝手にしやがれ」でジーン・セバーグが着ているニット。セバーグは作中で新聞の売り子をしている設定なのでのでこのニットを着ています。ヘラルドトリビューン社はその後合併で今のNYタイムズ社になっています。 

 もちろん1960年の映画に出てくる服と全く同じものを私が持っているわけではなく、2年ほど前に購入した今の製品です。
このニットがちょっと面白いのは、NYタイムズ社が公式に売っている、いわば新聞社のグッズであること。「勝手にしやがれ」に過去の自社の服が出てくることを踏まえた復刻でありセルフパロディとも言えますね。さすがNYタイムズ、グッズまで気が利いている。
Knickerbocker(ニッカボッカ!)というお洒落ブランドが手掛けているためデザインや作りもかなりちゃんとしていて着やすく、気に入っている服です。ポルトガル製でコットン100%というのも嬉しい。

映画の登場人物で最も好きな衣装の人は誰かと言われたら、私は「勝手にしやがれ」のジーン・セバーグなのだと思います。昔から。
セバーグが着ているのは今の人間の目から見るとどれも普通のアイテムです。ボーダーシャツ、クロップド丈のパンツ、襟付きワンピース、カーディガン、ノースリーブ、ローファー。
このヘラルドトリビューンのニットも、つまり今でいう企業名のロゴTみたいなものですしね。似たような服って今ならGAPやユニクロでも大体揃えられちゃうのでは。
言い換えると、今世界中で定番として当たり前に流通するアイテムたちを最初期にファッションとして「選定」してみせたのがゴダールでありセバーグだとも言えるかもしれません。

アイテム自体が特別なものというより、元々世の中にあるものをシンプルに(しかしおそらくは細心の注意も払いながら)うまく組み合わせて着るという感覚。
今でこそ普通なその着方こそが当時新鮮であり、数十年後の現代にもセバーグが不動のスタイルアイコンである理由の一つなのかなと思います。現代のファッション感覚の端緒をそこに見ることができるのではないかと。

ベリーショートにボーダーにプリーツスカート。1960年の映画ということは前年まで50年代なのでいわゆる典型的な60年代スタイルともまた違う。そのバランスも絶妙なのかなと思います。

20220912

ミントとアールデコ

例のYさんとのカフェやお店巡りを楽しんできまして、以前から行ってみたかった「Last MINT」にも行ってきました。基本的には若い女性のお客さんが多めのパンケーキカフェですが、アールデコな内装×ミントというとてもツボなコンセプトで気になっていたお店なのです。
店内が全体的に楽しくて、この↑一角だけで好きなものが色々と。スクールハウスランプっぽい吊り照明、「MINT」の文字がレタリングされたボックス型の照明、ミント色の壁にミント色のタイル、深緑の椅子。細かい部分にもアールデコ的なあしらいが。
細部まですごく凝っていて、コンセプト色が強めでありつつチープ感がないのも良かったです。

見えにくいですが、テーブルに設置されているコロナ対策用の透明なアクリルの仕切り板までちゃんとレトロなカッティング&レタリングが施されているのに感心しました。これって結構お店の雰囲気に影響するもんな。

床もミント色のタイルなのがお分かりでしょうか。メニューももちろんミントを使ったものが色々。このパフェは一番下の層にミントゼリーが入っているのもときめきました。アールデコ&ミントってなんだか少年っぽい組み合わせでもあるなあ。
今回はお腹の具合的にパンケーキではなくパフェにしましたが、今度はパンケーキも食べてみたいです。

こちらは以前は「MINT」というパンケーキ店で同じビルの1階にあったお店のようです。数年前に2階に移転した際に店名を変え、内装も全体的にリニューアルしたらしい。
あと店員さんの制服までミント色のガーリーなワンピースなんですよ。アメリカのダイナーの制服を少女っぽくしたような雰囲気でかわいらしかった。凝ってるなあ。



誌を見ていておっと思ったディオールの靴下。これ以前ブログでコレクションのルックに触れたことがあります。その時はショー用のスタイリングでリボンを後ろで結んだものかと思ってたんですが、こういう風にくっついているデザインで売ってもいるらしい。ますます靴下留めっぽいなあ。ライン入りなのもボーイッシュだし。そして流石のDIORプライス。

今のデザイナーのマリア・グラツィア・キウリはイタリア人なのですが、私この人がもし日本に生まれていたらオリーブ読者だったと思うんですよね(?)。行き着く先がレディというよりどこかガールな感じといいますか。
イタリアに生まれてパリコレのハイブランドのデザイナーになってもガールっぽい志向の人というのはいるものなのだな。ああでもミウッチャ・プラダもそんな感じもあるかも。
そういえばメンズのキム・ジョーンズもポパイっぽい。つまり今のディオールはマガジンハウスなのか。違うか。

20220907

ミスター・フレグランス

ラミス。「中高年の男性が使っていそうな香水といえば?」というアンケートを採ったらあらゆる国で一位になるのではないでしょうか。中高年女性ならシャネルのNo.5とかかな。
アラミスといえばかつての百貨店の一階、香水売り場の中でも独特の雰囲気を醸し出していたあの一角。アラミスとアラミスとアラミスなどが並んでおり通りすがりに見たことはあってもお世話になったことはないあの棚。長年愛用する男性がパッと買っていたのだろうなあ。
 
私はこのアラミスという香水がとても好きです。プロダクトとして尊敬している感じかも。日常で特によく使う香水のひとつです。
No.5もそうですけど、そもそもそれだけ長年大人に愛され売れ続ける製品という時点でとてもよくできたものなのですよね。ポッと出のヒットフレグランスとは違う。
香りも名香といって差し支えないと思います。スパイシーでウッディ、メンズフレグランスの王道を行きつつも上質な爽やかさと優しさがある。でもきっちり重みがある。数十年前の調香なのに今でもモダンです。
好みは分かれるでしょうが、実は女性にも合う香りだと思います。アラミスと聞くだけで試そうという女性は少なそうですが、機会があればぜひ。

左はキャシャレルのアナイスアナイス。なんかアラミスと名前似てるな。こちらもアラミスに負けず劣らずのロングセラーにして名作です。
これも大好きです。ユリがベースのフローラルですが、甘いようでキリっとした芯がある。そこが好き。それでいて永遠に目覚めない乙女の夢のように幻想的でもある。中身が見えない独特のボトルデザイン含め、唯一無二の存在ではないかと。

そしてこの2つの重要な共通点は、値段が高くないということです。どちらも私の30mlボトルで確か2700円くらいだったはず。100mlくらいのレギュラーボトルでもネットなら4000~5000円もあれば買えるのではないかと。これ、すごいことだと思うんですよね。

私は高価な香水というものが決して嫌いではありません。自分でも呆れるような値段のものを買ったこともありますし、希少な原料から作られた製品が意味なく安価だったりしたらむしろ変ですし。ニッチフレグランスも、時に高さに驚きはしてもそれぞれに魅力を感じます。
その上で、歴史ある名品が手に取りやすい価格でごく普通に売られているという事実が好きです。アラミスもアナイスアナイスも、特別香水マニアではない人たちに長く愛されながら、香水に詳しい人たちにも高く評価されるものであることも含めて。こういうものを完成度の高いプロダクトというのだろうなあと。

たとえば40年前のアメリカの一般家庭の洗面所にも、同じようにごく普通にアラミスとアナイスアナイスが並んで置かれていたりしたはず。私はなんだかそういうことがとても好きな人間なのですね。





YouTubeで海外の人のインテリアを見るのが好きです。特にアーティストとかガチセレブの人々の。おしゃれ&豪華すぎて見てて楽しいですからね。

こちらは最近見つけたお気に入りで、Luke Edward Hall氏というイギリスの若いアーティストさんのお宅。バーバリーやリバティやディプティックともお仕事をされている方だそうな。家中にクラシカルな様々なものが所狭しと飾られながらとてもお洒落で今っぽくもある。さすがプロ。ご本人もとてもかわいいお洋服を着ている。住人込みで完成された世界という感じ。

 

こちらは『House&Garden』誌によるLukeさんのクリスマスディスプレイの動画。一緒に映っているのはパートナーさん。House&GardenってTHE老舗のアメリカンなインテリア雑誌ですけど、なんだかんだ今もYouTubeやってもわりと上手いのだな。