20220421

琥珀色したのみもの

本の指に入るくらい好きなカフェ、Cafe NOEL。もう十年以上前から定期的に通っているお店です。ふと行きたくなるんですよね。羊ヶ丘の近くで、すぐそこに広大な緑が広がる農業試験場の景色があるのも特別な雰囲気。少しトリップ気分にもなれます。

大人のお客さんの多い落ち着いた空気や珈琲や軽食ももちろん良いですし、個人的にNOELは内装やインテリアの感覚がとても好きです。上の写真は2階の一角。医療棚といえば白のイメージですが(確か内藤ルネがインテリアとして提案したのが最初なんだっけ)、私は黒の医療棚にも憧れます。この棚はまさに理想的だなあ。
何か変わったものが置いてあるとかではないですが、正統派の喫茶店的なクラシカルさでありつつも甘すぎないしつらいで、椅子やテーブルもなんとも良い具合で好きです。
 
かなり大きなスピーカー。見た目は迫力がありますが流れているのは邪魔にならない音量のジャズ。

そういえばここもカップを選んでくれるお店だ。これはデンマークのビングオーグレンダールのものようです。
クロックムッシュ。おいしそうでしょ。おいしいのだこれが。


3本の指に入るくらい、と書いてみてふと思いましたが、自分が本当に好きなお店って真剣に考えるとすごく絞られるのかもしれないなあ。カフェに限らず。そして本当に好きなお店だからこそどこか敢えてふわっとさせているというか、身近でもあるけれど近づきすぎず、こっそり憧れているようなところがあるなあと。

NOEL以外で今思い浮かぶ、特に好きだったりすごいなあと思っているお店というと
・パスキューアイランド(雑貨)
・古物 十一月(ヴィンテージ)
・Uguis Bird Cage(カフェ/小樽)
・小樽文学館(お店ではないですが)
・書肆吉成(特に池内店が好きだったけれどビルの解体で閉店してしまった)
・石田珈琲店
こういう感じでしょうか。あと閉店してしまいましたが小樽の「さかい屋」がすごく好きだった。小樽は喫茶店や商店が歴史からくる空気を纏っているという点ではちょっと特別な街なんですよね。「光」もあるし。京都や神戸にも通ずるのかも。
一番昔から通っているパスキューアイランドだと、最初に訪れたのはおそらく26年くらい前。ずーっとすごいお店という印象。他のお店もすべてブログにも書いたことがあると思いますけど、何度も書いてるというほどでもないはず。すごく好きだからこそかも。リストアップするという発想もなかった。

そして↑のお店たちのような好きでたまらない!的な感じとはまた違いますが、本当に普通に通いすぎていて身近すぎてほとんど書いていないであろう喫茶店もあります。
・宮越屋珈琲
・宮田屋珈琲
・サッポロ珈琲館
・MORIHICO
のチェーン店4つ。これらのお店は私にとっていわばスタバとかドトール的な存在なので、わざわざ書くという感覚がないんだと思う。スタバなのでどこの店が特にとかもないです。どの店舗も適当に入ります。そしてどこも好き。安定の良さです。

札幌はおそらく喫茶店文化が盛んなんですよね。昭和から数十年続くお店が沢山あるし、上記の4つのチェーンも一番新しいMORIHICOでも25年とかは経つはず。で常に競争があるので全体的にある程度クオリティが保たれている感じがします。
ちなみに札幌で喫茶店が盛んなのって、つまるところ寒いからなのでは。氷点下ならそりゃ暖房効いた店内でホットコーヒーでも飲みたくなるよねという。

20220416

丸いミルクガラス

いミルクガラスのランプというものが昔から好きで、部屋の照明もそういう感じになっています。古い学校とか洋館みたいな感じですかね。パリのパサージュとか古い大学の廊下とかで整然と丸い照明が並んでいるのとかすごく好きです。床が黒白の市松タイルだったりしてね。

ちなみにこの照明に合うシーリングカバーがいまいち見つけられずに探し中です。デザインと質感が悪くなくてチェーン対応でサイズが合って高すぎなくて、となると突然難しくなるのだなあ。微妙なものをわざわざ付けるよりは剝き出しのままでも別にいいかなあと思いつつ、急ぐものでもないのでゆっくり探しています。

長野まゆみさん作・鳩山郁子さん画の天球儀文庫『月の輪船』より。
丸い照明に市松タイル!私はこういうところからの影響が大きいのだろうなあ。鳩山さんの建物の内部や街の風景を描いた絵、なんともいえず好きです。

天球儀文庫は内容も挿絵も装丁も全部が大好きです。全部がすごい。巻頭の精密に描かれた地図に対応した挿絵のひとつひとつも静謐かつ軽妙ですし、私は鳩山さんが描く少年たちのファッションにも影響されていると思います。おしゃれなのです。ダッフルコートとかカレッジマフラーとか着ててね。

1冊にまとめられた文庫版も出ていますが、個人的には鳩山さんの挿絵が見られる作品社の4冊版『月の輪船』『夜のプロキオン』『銀星ロケット』『ドロップ水塔』を是非におすすめします。絶版ですが多分まだわりあい入手しやすいほうではないかと。
この時期の長野さんと鳩山さんがタッグを組んで4冊も残してくれたこと自体が貴重だなと思います。おそらくもう二度とあり得ない邂逅というか。


2005年のパリコレ、永澤陽一さんのYoichi Nagasawaのショー画像。鳥籠がドレスになっているのです。とってもかわいくて印象に残っていました。このコレクションは完成度の高さから当時パリコレのジャーナリストの間でも話題になり、SNSはない時代ですが海外のモード系の記事でも結構取り上げられていたはず。
久しぶりにあれっていつだったっけ?と見たくなって、検索してなんとか発見しました。

鳥籠をドレスにするというアイデア自体は他にもあるものだと思いますが、ひとつの布のドレスとしてこんな風にさらっとまとめあげられたデザインの服は私は他では見たことがないと思います。ガーリーだけど抑制が効いている。落ち着いているんですよね。
 
同じくYoichi Nagasawaの杏ちゃん。少女だ~。今はすっかり女優さんですが当時はアジア系のドーリーなモデルとしては海外のランウェイでわりと無双状態でしたよね。こういう服はお手の物だったと思います。アナスイもよく出てたなあ。
当時は杏ちゃんてモデルとしては特別高身長でもないのに海外のショーでも映える人なんだなーと普通に感心しつつ見ていましたが、今思うとモデルとしてのAnne(杏)さんは、少女的な外見にどこか浮世離れした内面が合わさり、独特のビジュアルの存在感となっていた人な気もします。ちょっと幽玄な雰囲気があったというか。
賑やかなバックステージで一人で黙々と刺繍してたりして、なんか若いのに渋いな……と思っていた記憶。

20220406

選んでくれるお店

のところよく履いている靴。家族の靴の修理の付き合いで行った靴店で購入したものです。
そのお店がちょっと面白い空間で。私は初めて行ったのですが、市内の某駅近くにある老舗のいわゆる健康靴専門店で、博士のような雰囲気の店主さんが一人でやっておられます。小さなお店の棚にヨーロッパ各国の渋い健康シューズたちが並んでいて、ドイツかイギリスあたりの街角にありそうなお店で。店構えが独特なので存在は知っていましたが入るのは初めて。

で家族の修理のついでに私の靴を買うことになり、シューフィッターである店主さんに丁寧に計測してもらい薦められたうちのひとつがこの靴。出された中で一番武骨なやつを選びました。フランスのメフィストというブランドだそうです。当然ですが履きやすい。かなり歩く日でもあまり疲れないです。
ちなみに私は骨のアーチの関係で左脚の付け根部分が痛みやすいそうな。昔からそこが痛む自覚はあるのであ~となりました。足のつくりレベルの話なのかなあ。

健康シューズなのでお洒落云々というジャンルの靴ではないですし実際そういう目的で買ってはいないですが、こういう類のものって結構好きです。元々ファッションとして作られていないアイテムを、これをどう服に合わせればファッション的に見えるのだろう?とか考えるのが好き。真逆のフェミニンなワンピに合わせたら?とか。
多分その一般に浸透している版がビルケンだったりするのでは。ビルケンって元はドイツの素朴な健康シューズですよね。スニーカーでいえばニューバランスとかかな。


写真のパンツは昔のZUCCa TRAVAILです。これもフランス製なので偶然ですが靴とパンツがフランス合わせ。と今気づいた。
ズッカの元デザイナー小野塚秋良さんは昔から私のファッションアイコンでもあります。ZUCCa TRAVAILはかつてズッカにあった、小野塚さんの肝入りであったろうフレンチワークウェアを基にしたラインです。私はワンピースも持っていて25年くらい着ています。25年て。でも本当にそれくらいもつ作り。
本物のフレンチワークウェアの工場で作られていて、その貢献によってフランスのプレタポルテ協会から賞も受けたそうです。(こちらのインタビューが詳しくて面白いです)

小野塚さんはズッカのデザイナーは退かれてますが、HAKUIというユニフォーム専門ブランドを今でも手掛けています。これまたお洒落なのだ。いつか何か買ってみたいなあ。



近ふと気づいたことなのですが。自分が普段よく行く喫茶店は大体チェーン店で、系列でいうと3種類くらい(〇〇屋珈琲△△支店、的なお店)なのですが、その店舗のほぼすべてがお客に合わせて色々なブランドのカップを選んで出してくれるお店だなあと。
全然意識していなかったですし、そもそもそういうお店が周囲にありすぎて普通のことだと思っていたんですよね。でもまあわりとあるよね?

なのでそこを理由に行っているわけではないのですが、行きやすくて落ち着くお店を選ぶと結果的にカップを選んでくれるお店になるようで。ちょっと気が利いているということだろうか。
人とそういうお店に行くと、なんとなく各々のキャラクターに合わせたっぽい色違いだったりして面白い印象もあります。年齢によってデザインの落ち着き具合が変わったりね。
あと私は陶磁器のメーカーって詳しくないので、へ―こんな会社もあるのか~と勉強になっているかも。

写真は少し前に行ったそのチェーン店のひとつである宮田屋珈琲のカップ。マイセンのブルーオニオンですかね。定番で青。なるほど?