道立文学館「2016年の宮沢賢治――科学と祈りのこころ」へ行ってきました。終了前日に滑り込み。こじんまりした展示でしたが好きな感じでした。スズキコージさんの絵や「賢治と鉱物」、仏教、札幌とのかかわりなど、シンプルながら焦点が合っている感じ。
「賢治と鉱物」をデジタルでガジェット的に表現したコーナーが楽しかったです。タブレットの鉱物標本の中から好きな鉱物の写真に触れると詳しい説明と賢治の文章が美しい写真とともに現れて、同じものがプロジェクターで奥の壁に投影されるという。
北海道立文学館で開催中の「2016年の宮沢賢治―科学と祈りのこころ」展では賢治が好きだった鉱物の世界を、映像でも紹介しています。使用している画像は『賢治と鉱物』(工作舎)の青木正博氏ご提供。大変美しい鉱物、岩石の写真は必見!https://t.co/MKu9AHqWM1 pic.twitter.com/CVX6ziVAtq— 工作舎 (@kousakusha) 2016年10月21日
記念撮影コーナーの手で持つプレートがかわいい。飛行船と賢治の帽子と双眼鏡。
図録(?ていうのかな?テキスト集?)の「科学と祈りのこころ」購入しました。長野まゆみさんや池澤夏樹さんも寄稿していて、なんか買ったほうがいい気がするぞと勘がしたので。長野さんと池澤さんは今回講演もありました。私は行けなかったんだけれども。
ちなみに池澤さんはいまこの文学館の館長であったりします。だからかわからないけど、ここ数年企画が結構イケている気がする。
賢治は人生で3度、北海道を訪れています。特に大正12年の青森・北海道経由の樺太への旅は「銀河鉄道の夜」のモチーフにもなったとか。たとえば「白鳥の停車場」は樺太の白鳥湖がモデルと言われるらしい。札幌の詩も残していて、タイトルはそのまま「札幌市」。
遠くなだれる灰光と
歪んだ町の広場の砂に
わたくしはかなしさを
青い神話にしてまきちらしたけれども
小鳥らはそれを啄まなかった
「青い神話」ってナニ?とか「歪んだ町」って?とか解釈は色々あるそうで。
で、この詩に関する論考も上記の本に載っていまして、ちょっとハッとなったのが「北極塔」についても載っていたこと。
北極塔は大正7年の北海道博覧会のときに作られた、今はもうない塔です。てっぺんに北極星がついていたというもの。これについて書いた私の過去のブログはここ。博覧会の数年後、賢治は教師として修学旅行の引率で会場だった中島公園の拓殖館を訪れており、そのときのことも書き残しています。北極塔を見たかはわかりませんが。そして中島公園は文学館がある場所でもあります。
ちなみに賢治の「ポラーノの広場」のポラーノの語源は、諸説ある中で有力なひとつがPola Star=北極星というものだそう。