20231028

パンクの孫娘

ンダーカバーの2024年春夏。結構話題になっていたと思います。
パリコレの批評家たちにも評判がよかったようで今季のベスト級に挙げるレビューも複数見たような。パリコレって今も服の出来の評判でメディアでの取り上げられ方が普通に上下する世界なんだなあと改めて思ったり。アンダーカバーくらいの超有名でもマイナーでもない規模のブランドだと特にそうかもですが。

このコレクションを見たとき、ヴィヴィアン・ウエストウッドへのオマージュも入っているのかなあと思いました。靴が端的にロッキンホースバレリーナっぽいし、フォルムが端的にミニクリニとかあの辺っぽいなと。
単に私の目に似て見えるだけかもしれませんが、アンダーカバーの高橋盾といえば日本の元祖ヴィヴィアンキッズ世代でもありますし、昨年末にヴィヴィアンの訃報がありましたし。
1970~80年代の元祖ヴィヴィアン世代というと他にNIGO、藤原ヒロシ、フミヤ、キョンキョン等でしょうか。当時既に大人ですがMILKの大川ひとみとか。みんなその後ガチの大物になっていくという意味では日本のストリートファッション史上でも後々への影響力が特に大きいシーンだったのかも。



https://www.fashion-press.net/collections/19213

メディアで特に取り上げられていた、光るテラリウムのスカートの中に薔薇と生きた蝶が入ったルック。上半身がきゅっと小さくてスカートがミニ丈で膨らんでいて厚底のバレリーナシューズ。ヴィヴィアンの中でも特に日本の女子がやたら好きなあのミニクリニのスタイルを連想しました。髪型も似てるかも。
しかしジョニオさんてセンスがいいよね。良くも悪くも何を作ってもセンス良く仕上がってしまうタイプというか。


そういえば以前、ロリータ的なファッションっていつから「あの丈」になったのだろうと考えたことがあります。あの丈とはつまり膝前後。膝上のミニもあるし膝下の長めもあるけれど、なんとはなしに膝前後で膨らんだフォルムのスカート。で上半身は基本ぴったりめ。
ロング丈でストンとした形のピンクハウス系と、ロリータ系を永遠に分けたのもこの部分だと思います。膝か、ロングか。でもこれって元は別に厳密に分かれていなかった気もするんですよね。アツキオオニシとか時期によってどっちもあると思うし。どっちもざっくりとロマンティックなDCブランド、って感じだったのでは。

で考えた結果、その分水嶺はヴィヴィアンがこのミニクリニを発表した1985年(1986年春夏)あたりにあるのではというところに行き着きました。単純にそのあたりから膝前後丈のガーリーな服やブランドが増えている印象はあるので。
あのフォルムや雰囲気を日本の女子が好きになり、影響を受けたガーリーブランドが人気を博し(Jene Marple、MILK、クードゥピエ、VIVA YOU etc.)「あの丈」系となり、後のロリータ系ブランドにも繋がったのでは。と同時に、そことは別の道を行ったガーリーブランドも複数あったと。全て私の勝手な想像ですが。
つまり現在のアンダーカバーとKENZO(NIGO)とメタモルフォーゼとInnocent World等はそれぞれ全然趣味の違う遠い親戚たちです。ちがうか。ちがわないか。わかんないけども。

20231023

丸い発光体

屋に地球儀とか月球儀とかボール型の照明とか剥き出しの電球の照明とかがあるのですが、つまるところ金属やガラスの丸いものが好きなのか。なんだろう、なんかレトロ未来っぽい感じがするからか。そういえば子供の頃はドラえもんが好きでしたが。丸くて青くて金属。ドラえもんの素材って金属なのか?

ジェルデの黒いデスクランプは2年くらい前に購入したのですが、使い始めてしばらくはこのサイズ感がなんだかしっくりくるようなこないような微妙な感じで。スタンダードな大きい方にすればよかったかなあと。最近ようやく馴染んできた気がします。脚が細くておもしろい。

デスクスペースの好きなところは天板がデカいところです。広いと作業するときに結局楽なんですよね。パソコンしながら本積み重ねながらお茶を飲むみたいなことが何も考えずにできる。部屋が狭いので家具の隙間がまあまあありませんが。



 

年前にYouTubeで見かけて何気に面白いなあと思っていた動画。1980年代の「夕やけニャンニャン」の、おニャン子クラブのメンバーが今日の私服を見せちゃうよ☆というだけの映像なのですが、記録として結構貴重かもと。彼女たちのファッションが。
昔の普通の子のファッションって実は記録に残りにくいですよね。歌手や女優のテレビの衣装や雑誌のモデルのコーディネートはたくさん資料が残っていますが、それらは特別だからこそ残っているものでもあり。

もちろんおニャン子もアイドルですが、半分素人なコンセプトもあり普通っぽく、でも完全な一般の子よりは予算に余裕があって、すごく洗練されているとかではないにしても仕事上身ぎれいにかわいらしく装ってもいる。
で結果的に80年代の少女たちの、ちょっと華やかかつ普通っぽい服装が見られる映像資料集になっているという。映像では珍しいのでは。聖子や明菜やキョンキョンだと私服だとしても「普通」の子ではないしね。

当時トレンドだったオリーブ少女的なコーデの子も多いです。黒ワンピに白タイツとか、ピンクハウス系とか、少年的ハーフパンツとか。
個人的に好きなのはやっぱり渡辺満里奈のコーデ(0:56~)かなあ。当時から服とか好きな人なんだろうなというのが分かる。満里奈はアイドル歌手時代の衣装もおしゃれガーリーなので80年代オリーブ好きの方はYouTubeで検索してみてください。素朴版キョンキョンみたいな。
 

20231012

半世紀のアリス

回のブログでKENZOは80年代以前にアリスの絵のアパレルを出しているのでは? と書いたのですが。その後ふと検索してみたところ、ヤフオクのログでまさにそういうストールを発見しました。おおこれだ~。
ケンゾー KENZO 不思議の国のアリス スカーフ マフラー ストール
私が昔写真で見たのもこれの色違いだと思います。かわいい。 タグの感じからしても80年代以前、70年代の可能性も全然あると思う。JUNGLE JAP時代かなあ。

日本というかおそらく世界にも「ガーリーなアリスのアパレル」がほぼ無いであろう時代ですよね。それでこの完成度。さすが。
私はKENZOって日本のガーリーファッションの祖先の一つではと思っていて、アリスやその他のクラシカルなモチーフもおそらくこの辺りから広がっていったのかなあと想像しています。

ついでに手持ちのKENZOのヴィンテージのワンピースを載せてみます。当時のKENZOはこういう素朴でかわいらしい服を出していたというのが分かりやすいのではないかと。引っ張り出してきたのでシワシワしててすみません。
フランス製のKENZO Parisで麻100%。表記やサイズも全てフランス語。おそらく80年代のものかなあと思います。買ったのは数年前。
シンプルなシャツワンピースですが、着てみるとやはり作りがいいのが分かります。首回りとかシュッと体に沿う感じで。あと私はこのプリントが大好きで。持っている服の中でも1、2を争うくらい生地が好きです。毎年夏に一、二回は着てるかな。



田浩一が演出するショーが毎日のようにNHKの朝ドラで見られるという現象が起こっていて、現代を代表するショー演出家となるとそんなこともあるのだなあと驚いております。
オギーショーを、日本中の舞台等に興味のない人もある人もみんなが朝から目にしてあれやこれやと感想を言っているであろう、その状況自体がすごい。それも結局はオギーの才能ゆえに起こることなんだろうなあ。

黄色いチュチュのダンサーさんたちが乙女でかわいい。「胡蝶の舞」というタイトルからして荻田浩一的。音楽もちゃんと甲斐正人氏。いつもだけどNHK大阪の朝ドラってすごいな。文化というか。
この後もまたショーシーンが色々出てくるのだと思います。主人公が大人の歌手になってからの舞台も楽しみ。オギーショーのシックな女役さんみたいな感じも見たいなあ。

20231009

美女のドレス、美少女のドレス


ブスク時代になってから改めて曲を聴いたミュージシャンって結構いるなあと思います。名前は分かるけれどちゃんと聞くのは初めて、くらいの。
 
私にとってはDip in the Poolがその代表かもです。一応知ってはいたけれど世代ではないので詳しくは知らないというような存在。私より少し上のお洒落なお姉さん方が好きなイメージかな。
甲田益也子さんのデュオだということとかビジュアルとかは知っていました。そもそも甲田さんが今なお現役でトップモデルなのが多分すごいんだな。あのオーラも変わらずずっとすごいよね。

改めてちゃんと見て聞くと本当に美麗だなあと。こんな美麗なミュージシャンが存在していいのだろうか。いやモデルさんなんですけど。そして曲もやっぱり素敵。曲名からしてもう美ですもんね。「緑色スパンコールの鹿」に「疑似四角形」!
これらの旧譜をひとつひとつCD等で探してとなると私にはなかなか大変だと思うので、サブスクのありがたみを感じます。サブスクに関しては新曲や元々好きな曲より、超メジャーではない30~40年前の曲あたりが最もありがたみを感じるかもしれない。一番パッと探しにくいあたりというか。


甲田益也子さんが表紙の本って私何か持ってるかな?と考えたところこれがありました。『ATSUKI ONISHIのニット絵本』。1985年刊。メイクは渡辺サブロオさん。

これとか中野裕通『VIVA YOU おしゃれスタシオン』とかは今おそらくプレミアついてちょっと高くなっちゃっているはず。実際どちらもきれいな本だし、日本のガーリーファッションの歴史を辿る上ではまとまってる書籍としてはなかなか貴重なのでは。
ちなみに私は2冊とも誰も買わなかった十年以上前に定価以下で買いました。なぜならオタクだからですが。良くも悪くも調べ尽くして誰も買わない本に辿り着く、それがオタク……。

こっちは『VIVA YOU おしゃれスタシオン』の1ページ。87年刊。アリスのイメージだと思います。この時代既にアリスがガーリーファッションのアイコンだったことが分かります。かわいい本なんだよねこれ。

80年代以前のガーリー系のアリスといえば、KENZOはおそらくアツキやビバユーよりも更に前くらいにアリスの絵のついたアパレルを出しているんじゃないかなあと。詳しい年代までは分かりませんが、写真で見かけた記憶があります。

あとそういえば以前、丸山敬太さんがブログでティエリー・ミュグレーのアリスがテーマのショーについて言及していて、このへんも日本のDCブランドへの影響としてあったりするのかな?と思ったり。ミュグレーなのであくまで大人の女性の服でしょうけれども。
   <自分のファッション人生の中で、誰かの一番好きな作品をあげろと言われたら、DiorでもCHANELでもKENZOでもなく、Muglerの80年代の春夏、、不思議の国のアリスをテーマに繰り広げられた、ファンタジーショーの、ラストシーンのフラワードレス。小夜子さんやPatが着たぼかし染めのキッチュなお花そのもののドレスなのです。>
80年代のミュグレーとなるとさすがに詳しくは知らないなあ。薄い知識でフェティッシュや未来的なイメージがあるくらいで。このあたりのコレクションもいつか詳しく見てみたいです。