パリコレの批評家たちにも評判がよかったようで今季のベスト級に挙げるレビューも複数見たような。パリコレって今も服の出来の評判でメディアでの取り上げられ方が普通に上下する世界なんだなあと改めて思ったり。アンダーカバーくらいの超有名でもマイナーでもない規模のブランドだと特にそうかもですが。
https://www.fashion-press.net/collections/19213
このコレクションを見たとき、ヴィヴィアン・ウエストウッドへのオマージュも入っているのかなあと思いました。靴が端的にロッキンホースバレリーナっぽいし、フォルムが端的にミニクリニとかあの辺っぽいなと。
単に私の目に似て見えるだけかもしれませんが、アンダーカバーの高橋盾といえば日本の元祖ヴィヴィアンキッズ世代でもありますし、昨年末にヴィヴィアンの訃報がありましたし。
1970~80年代の元祖ヴィヴィアン世代というと他にNIGO、藤原ヒロシ、フミヤ、キョンキョン等でしょうか。当時既に大人ですがMILKの大川ひとみとか。みんなその後ガチの大物になっていくという意味では日本のストリートファッション史上でも後々への影響力が特に大きいシーンだったのかも。
《Street Kids Collection ’88》人と一緒は嫌だからヴィヴィアン一点入れて古着で合わすとかBBOY系のもので外したり。文服の子は実家が太いので服にお金かけてたなぁ。渡辺真紀子さん流石 段違いのお洒落、ネイバーフッドの滝沢さん、高木康行さんはおしゃれスナップの常連でしたね。 pic.twitter.com/RZgVlckxdu
— Bellissima (@BellissM) December 28, 2022
メディアで特に取り上げられていた、光るテラリウムのスカートの中に薔薇と生きた蝶が入ったルック。上半身がきゅっと小さくてスカートがミニ丈で膨らんでいて厚底のバレリーナシューズ。ヴィヴィアンの中でも特に日本の女子がやたら好きなあのミニクリニのスタイルを連想しました。髪型も似てるかも。
しかしジョニオさんてセンスがいいよね。良くも悪くも何を作ってもセンス良く仕上がってしまうタイプというか。
そういえば以前、ロリータ的なファッションっていつから「あの丈」になったのだろうと考えたことがあります。あの丈とはつまり膝前後。膝上のミニもあるし膝下の長めもあるけれど、なんとはなしに膝前後で膨らんだフォルムのスカート。で上半身は基本ぴったりめ。
ロング丈でストンとした形のピンクハウス系と、ロリータ系を永遠に分けたのもこの部分だと思います。膝か、ロングか。でもこれって元は別に厳密に分かれていなかった気もするんですよね。アツキオオニシとか時期によってどっちもあると思うし。どっちもざっくりとロマンティックなDCブランド、って感じだったのでは。
で考えた結果、その分水嶺はヴィヴィアンがこのミニクリニを発表した1985年(1986年春夏)あたりにあるのではというところに行き着きました。単純にそのあたりから膝前後丈のガーリーな服やブランドが増えている印象はあるので。
あのフォルムや雰囲気を日本の女子が好きになり、影響を受けたガーリーブランドが人気を博し(Jene Marple、MILK、クードゥピエ、VIVA YOU etc.)「あの丈」系となり、後のロリータ系ブランドにも繋がったのでは。と同時に、そことは別の道を行ったガーリーブランドも複数あったと。全て私の勝手な想像ですが。
つまり現在のアンダーカバーとKENZO(NIGO)とメタモルフォーゼとInnocent World等はそれぞれ全然趣味の違う遠い親戚たちです。ちがうか。ちがわないか。わかんないけども。