20211227

ふしぎな市場

4丁目プラザという札幌市民にはおなじみの若者向けのファッションビルが、2022年1月に閉店し老朽化のため解体されます。
ここの最上階は自由市場というスペースで、フロア全体が蚤の市のように小さくて個性的なお店がひしめいています。街中のビルの中とは思えない、ちょっと異空間のような場所です。

自由市場は氷室冴子さんの『クララ白書』か『アグネス白書』にも登場するし、穂村弘さんも北大時代に通っていたそうです。 地元民は、特に50代40代以下だと若い頃に一度も行ったことがない人はけっこう珍しいんじゃないかな。それくらい知られた場所です。改めて考えると、街の超中心部にいい意味でどこか怪しい蚤の市的スペースが、主に若者のために40年間も存在し続けていたというのがすごい。

私も十代の頃は友達と行っていましたが、大人になってからはほとんど訪れなくなっていました。そういう人は多いはず。しかし十数年前にふとしたきっかけで再び通うようになりまして。少なくとも年に数回は行っているはずです。

最後かもということで初めてフロアの写真を撮ってみました。昔からずっとこういう雰囲気。昔は雑貨屋さんが多いイメージだったけど、今は古着屋さんが多いかな。今でもちゃんとお洒落なお店が多いのも偉い。
 

これ、下が東西南北になってるって二十ウン年で初めて知った。見てないものだなあ。レンガ模様になってたり街灯があったり、ヨーロッパの街をイメージして作られたフロアだということがディテールにも表れているのだなと気づく。昭和の日本の人が思う異国風ですね。

街は移り変わっていくものだし、私が無くなりゆくものをすごく惜しむタイプかというとそうではないのかもしれません。けれどどこか不思議な、ちょっと異世界のような匂いのする場所が日常の中にいつでもそこにあったということは、とてもありがたいことだったのだろうなと。

一番最近購入した青いストーンのブローチ。なんかどうしても青とか水色が好きなのだな私は。矢車菊のようなデザインでお気に入りです。鳩山郁子さんの漫画を思い出します。コーンフラワー・ブルー。ノヴァーリスの『青い花』とか。

こういうヴィンテージのアクセサリーって大きいものも多いし結構独特ではあるんですけど、個人的にカジュアルなTシャツやセーターにあえて着けるのが好きです。で下はデニムとか。パールのネックレスもTシャツやスウェットに合わせるのが自分の昔からの定番。
もともと服がカジュアルだからこそ古めかしい小物がむしろ使いやすいとも言えるかも。クラシカルすぎずに済むわけなので。

20211216

都会の薔薇

の薔薇。つぼみはつくのですが気温的にもう流石に外で咲きはしない。のでちょこちょこ拝借しては家の中で切り花の状態で開花させるということをやっています。けどこれはもう咲かなさそうだなあ。この状態でしばし愛でたいと思います。

 
薔薇は薔薇でもケーキ。どこのお店だったっけ。バタークリームの素朴な味で美味しかったです。私おいしいものならば生クリームよりバタークリームのほうが好きなのかもしれない。
というか生クリームにもバタークリームにも基本的にそんなに興味がないので、どちらにしろおいしいもの(言ってしまえばお高めなもの)なら好きだしそうでないならばそんなに好きではないということだな多分。



川美代子さんという方について考えるとき思い浮かぶのは、女性雑誌の歴史に燦然と輝く大編集者であることや淀川長治氏の姪御さんであること等……はもちろんなのですが。
実はここ数年私の中で印象深かったのは、淀川さんがクロムハーツの愛用者だということかもしれません。

クロムハーツ。皆さんどんなイメージでしょうか。なんか高いやつ。シルバーで十字架とか星とかのやつ。芸能人がつけてるやつ。ロックなやつ。大体こんな感じかな。
格好良さと、言ってしまえば微妙に中二病っぽさをなんとなく感じる、有名なアクセサリーブランドというのが大方のイメージではないでしょうか。ちなみに私は一つも持っていません。

淀川美代子さんといえばOliveやanan等の数々の雑誌をヒットさせ社会現象にもした伝説のエディターであり、シックでエレガントでコンサバティブな大人の女性でもある。つまり、彼女が愛用するブランドとしては一般的には少し違和感があるのではないかと思うのです。
けれど私は淀川さんがクロムハーツの愛用者でありコレクターであることを雑誌のインタビューか何かで知ったとき、やはり只者ではないのだと感じたのを覚えています。

それはエレガントな大人の才女がクロムを愛用してるなんて!という単純な違和効果とかギャップ萌えみたいな話でもなくてですね(それもありますが)。
むしろ、私個人がもともとクロムハーツというブランドをどこか不思議な、無視できない対象だと思っているのが大きいと思います。
一般的なイメージとはある種反するように、実はDistrictで扱われ、カール・ラガーフェルドが終生身に着けてもいたブランドなわけです。物への選別眼がある人がアクセサリーとして許せるのがクロムハーツなのでは。
淀川美代子さんとはまさに選別眼の人であり、故にクロムハーツに対しても本質をさくっと理解してしまうのだろうなと、彼女についてふと考えるたびに思っていました。

少女的なOliveを作った人が首元には王道の真珠のネックレスを、手首にはクロムハーツの十字架のブレスレットを着けていた。意外なようで個人的にはとても納得し、さらには改めて彼女の眼力に嘆息する事実なのです。

かつてあった「dia STANDARD」というサイトのページより。人選が面白くて読み応えのあるサイトだった。

20211209

シューシャインボーイ

しぶりに靴磨き。革靴はまあまあ履くのでたまにはやります。しかしモノグサなのでこまめにやるという感じではない。帰宅したときに玄関で馬毛ブラシで泥や埃を払うのだけは普段からやっておいて、磨くのはひと月に一度とか数か月に一度とかです。
そして冬の玄関は寒くてすべてのやる気が削がれていくので、室内で新聞敷いてやります。

磨き方はステインリムーバーで軽く拭く→クリームを塗る→豚毛ブラシで馴染ませる→ワックスを塗る。普通だ。クロスは古いシーツを切ったものを使ってます。
私は靴磨きがわりと好きなのでワックスまで一応やりますけど、基本的には汚れ落としの馬毛ブラシと栄養のクリームがあれば十分じゃないかな。どっちも千円とかで買えると思う。
この感じって人間のスキンケアに似てるなと思います。汚れ落とし(洗顔)と保湿はやっておくと清潔感があっていい感じ。それ以上のワックスや細かい道具(化粧品)へのこだわりは人によりけりで、やったらやったで綺麗だしやらなくても特別問題はないよね的な。

個人的には服がカジュアルなほうなので、靴だけがやたら光っていると浮いてしまう気がしてワックスはあまり光らせないようにはしています。そんな技術もないが。

写真の靴。ローファーはアウトレットで買った歩きやすいリーガル。紐靴はフランス製のサービスシューズ。ブーツは15年とか前のマーチン。当時はイングランド製しかなくて普通に買ったら自動的にそうなったんですが、今マーチンのイングランド製って倍くらいするはず。ちゃんとした質の普通の靴とか服って高くなったよねえ。
 
サフィールのワックス。見た目がかわいくて好きです。蜂マーク。以前はワックスって楽しいけど匂いが苦手だったのですが、これは平気です。原材料が天然系だそうで、そのぶん蜜蝋等の強い匂いはするんですけど石油系のツンとくる感じではないので。ものによって違うのだなあ。おフランス製ですがお手頃です。



菓楼の札幌本館。久しぶりにお友達と。すごく洋館という感じですが、実際元はすごく洋館です。大正時代に建てられた北海道庁図書館でそのあと美術館になったり文書館になったりした建物。私の世代だと文書館のイメージで、上の世代の人は美術館のイメージらしい。
数年前に菓子ブランドの北菓楼が安藤忠雄設計でリニューアルした店舗ですが、外観はほぼ変わらず写真のような特徴的な部分も残してあります。カフェもあり。中心部から遠くない場所に雰囲気のある古い建物のこういう場所があるのはなかなか嬉しい。

ちなみに写真の奥に鎮座する球体、なんか不思議な感じがしません?これ、本当に何なのか謎らしいです。昔からこの建物にあるんだけど資料がなくて何なのかよくわからないらしい。そんなことあるのか(笑)。

20211203

今日とヴィンテージ

のガクアジサイがいい感じに枯れていたので拝借。アジサイって生のままでももちろん綺麗だけど個人的にドライフラワー化したときの花弁の色が更に好きです。渋くていい色。
花を挿した硝子瓶はどこのご家庭にも必ずある古い石鹸カンフル擦剤の医療瓶。昔骨董市で買ったもの。部屋を見まわしたらあったので採用しました。隣の箱も古いもので鉱物標本が入っています。石がやたらでかい。

ヴィンテージなものって好きですけど、同時にゴリゴリの現代デザインも好きなので絶対に古いものにこだわっているわけでもないです。というかその両方を混ぜた感じが好きなんですね。
けれどヴィンテージ風ではなく本当に年数が経っているものの持つ迫力はやっぱり代替が効かないなあとは思います。それを御して「今の部屋」にする難しさも含めて。その力の強さを借りて全体のアクセントにするみたいな感じもあるかも。

そしてこの感覚って私の服の着方も同じかもなあと。私は基本的には全身新品のすごく普通のカジュアルな服を着て生活しているのですが、なにかアクセントのような癖のようなものが欲しいときにヴィンテージの力を借りる感じがあります。アクセサリーとかジャケットとか革靴とか、一点二点だけ入れる感じで。



んとなく気づいてはいたのですが、白いものにネイビーのラインが入っているものが昔から好きだなあと最近改めて思いました。この3つは買った時期が全然違うのですが似ている。
あとこういうデザインって服も好きではあるんですがこれに関しては食器やファブリックのほうが好きらしい。アメリカのダイナーとかミリタリーで使われてそうな武骨なライン入りの食器とかすごく好きです。ぼってりしたいかにも丈夫そうなやつ。