「ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス」を見てきました。フレデリック・ワイズマンの映画を見たという記憶が特になかったんだけど、作品リストを眺めるとそれでも3つくらいは見てはいるみたいです。監督で選んだ記憶がない。巨匠ってそういうものか。
図書館の映画、ドキュメンタリー、ニューヨーク。それはやはり見ておきたいなあということで。ちなみにめちゃ長いです。それでもお客さん普通にいっぱいいました。
「ニューヨーク公共図書館」は、数少ない視聴済みのワイズマン作品「ナショナル・ギャラリー 英国の至宝」に基本が似ている感じがしました。巨大な公共の施設、知識詰まってそうすぎな職員たち、さまざまな利用客たち。視覚障害への取り組みなんかも。「ナショナル・ギャラリー~」のわりと内にこもった感じを、がっつり外との関わりの描写へと時間を割いたのが「ニューヨーク~」という風にも見えた。
全体的にちゃんとした映画で是非みなさん見てみてください、という感じなんですけども。賞もいっぱいとってるし。
個人的な印象の中で特に強いのは、「人間ってめちゃくちゃ見た目に表れるんだな……知ってたけど……」ということで。作中では図書館内で盛んに開かれるトークイベントに世界的な著名人がどんどん出てきます。パティ・スミスとかリチャード・ドーキンスとかエルヴィス・コステロとか。
で、基本的に名前のテロップが出ないのです。パティ・スミスレベルのスターとか、話の内容からああこの人ドーキンスなのかって分かる場合はともかく、そうじゃない場合は基本誰なんじゃろな?となりながら見ている。職業すら分からない。
するとどうなるかというと、この人やけにオーラあるなあとか、なんだこのめちゃくちゃ知識ありそうな人とか、この人なんかずっと楽しそうだなあ陽気、みたいにひたすら見た目と話し方だけで個性を感じ続けることになるという。
そして私が登場人物の中で最も何者なんだこの人、顔に「カリスマ」って書いてあるぞ喋り方もオーラも絶対普通じゃない、と思ったのが若めのアフリカ系の男性で作家っぽい人。帰宅してからなんとなくネットで調べて、彼がタナハシ・コーツ氏であることを知りました。あ、ああ~。
あとユセフ・コマニャカア氏という人(多分)もオーラあったなあ。ニューヨーク大学で教えている詩人だそうです。人間は見た目……。
YouTube上にファッション関連の動画が各方面からアップされるようになって久しいですが、その中で最もおしゃれなものをひとつ選んでくださいと言われたら挙げるかもしれないのはこれかなあと。
半年前に何の予備知識もなく見て、なんだこの完璧に洒落た部屋とカップルとセンス良すぎる服しか詰め込まれていないクローゼットは、と思いました。
あとから彼らが話題の美容ブランド「オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー」をスタイリッシュに生まれ変わらせた仕掛け人と分かりました。女性のヴィクトワール・ドゥ・タイヤックは元コレットのPRであり、名前からわかるように高級ジュエリーデザイナーのマリーエレーヌ・ドゥ・タイヤックの妹さんでもあるそうで。納得。
YouTubeって「パリの世界一スタイリッシュなカップルの部屋」みたいな動画と「昨日買ったカップ麺を一人で食べます」みたいな動画が完全に同じフォーマットに収まってるのが面白いなあと思います。それがSNS時代ということだろうか。