20250524

ガーリー・テキスタイル

のスミレ。スミレはやっぱりこの首が「くねっ」となっているところが好き。この花瓶は見た目が気に入って買ったのですが、使うと何を挿しても不思議と様になるなあと思います。作家さんものなので形とかが計算されているのだろうか。

 
スミレといえば、スミレ柄のハンカチはなんとはなしに集まっていくつか持っているな? と思いました。特にコレクションしているわけでもないですが、親戚からもらったり、これスミレだよーと教えてもらったりもして。多分ハンカチの柄としてはまあまああるモチーフなのもあるかも。「スミレのハンカチ」という存在自体が物としてなんかかわいいもんな。


これもそこまで意識はしていなかったけれど集まったハンカチシリーズ。ケイタマルヤマ。ケイタさんは世界の伝統的ないろいろな柄を、日本的にガーリーに今っぽくテキスタイルに昇華させるのが上手いなあと思います。

ガーリー寄りの洋服ブランドで、テキスタイルをブルーミング中西とか川辺製のライセンス商品のハンカチやスカーフとして一般層にも流通させるデザイナーの系譜ってある気がする。KENZO→アツキオオニシ→ケイタマルヤマ みたいな。KENZOは70年代からかな。ピンクハウスも入るかも。デパートの1階で買う感じのね。
昔から日本のファッション界の大きな要素として生地作りがあって、それこそギャルソンからミナペルホネンからユニクロまで、生地・素材開発を抜きには語れないですよね。その中でわりあい「絵」「柄」のテキスタイル創作に特化した系統が、KENZOさんや金子功さんやケイタさんではと。絵柄自体が特徴なので価格帯の違うライセンス製品化にも向いている。
あとこういうガーリーなテキスタイルを創作する志向って、現在のロリータブランドとかにも繋がる気が。デザイナーが手掛けたオリジナルプリントが尊ばれる感覚というか。

ケイタマルヤマの歴代のテキスタイルをデザイナー自ら解説するページ。私は96年のエッフェル塔柄のワンピースを今も持っているのですが、大石卓さんという方のイラストだと30年越しに初めて知りました。なんだか嬉しい。

 
普段使いに今一番愛用しているのはリバティのハンカチかな。これはイオンのハンカチ売り場で見かけて購入した川辺のライセンスものですが、主張しすぎない美しい柄、使いやすい生地感、お手頃価格、と三拍子揃っていてやはり餅は餅屋だなあと。しかもリバティ社にはこの数万倍の柄が存在するわけですからね。

20250504

ギャルinポストモダン

保友香『ガングロ族の最期 ギャル文化の研究』
これ面白かったです。若者カルチャーに興味のある方にはおすすめ。なかなかインパクトのある表紙ですが中身はかなり真面目な文化研究本で濃いです。でも読みやすい。タイトルは『モヒカン族の最後』のオマージュでしょうね。

狭義のギャルカルチャーは1990年代前半に渋谷で始まったもので、東京の中高一貫の有名私立の女子高生たちが最初、というのは知識にはありました。ギャルって元々は庶民のヤンキー系ではなく、むしろその逆とも言える都会のお嬢さんたちが始めたカルチャーなんですよね。私の5年とか上かな。体感でもルーズソックスブームの最初がその辺りの学年の人たちという記憶です。
で個人的に昔からなんとなく気になっていたのが、そもそもその有名私立高の女の子たちはなぜ肌を焼いたのか? なぜ「海」っぽい見た目を取り入れたのか? 多分LAとか海外志向由来なのだろうけど、具体的にはどこから来たテイストなのか? ということです。
この本は私のこれらの疑問にすべて見事に答えてくれているのです。すごい。つまり元祖渋谷ギャルである彼女たちにも、更に先輩や先輩の先輩にあたる人たちがいるわけですね。
最初の最初を辿るとガングロギャルってココ・シャネルにまで遡れるらしいです。な、なるほど。確かにフランス人って異様に日焼け肌への執着があるイメージ。これは現代のフランス国民が雇い主からバカンスの権利を獲得したこととも密接な関係があるのだそうな。

私はアトピー性敏感肌&日光湿疹も若干、という日焼けには最悪の相性の肌質を持って生まれたため肌を焼くことはない人生でした。健康な肉体を持ってこそのギャルなのだなあとしみじみ納得。
しかしフランス的な小麦色の肌やそれに調和したファッションは素敵だなと思うし(ブリジット・バルドーって言われてみるとすごくギャル)、肌質と時代の両方が合っていたら焼くのもやぶさかでなかった気がする。あと、私個人はオタクで全然ギャルではありませんが、うちの血筋は若干ギャルだと思う(?)。
友達にはギャルもいたので、カルチャーとしては自分と近くはなくすごく遠くもなく、くらい。私は服オタクで服屋と名の付く場所はなんでも見たい人間だったので、若い頃はギャルショップも出入りしていました。安いアクセが豊富なので、今でいうGUとかZARAとかH&M的な使い方をしていた記憶。90~00年代前半はファストファッション定着前で、安価なトレンド系は実質ギャルショップしかなかったかも。今のギャルは多分、SHEINだろうなあ。


余談。あの渋谷109のビルは札幌出身の竹山実という建築家の手によるものです。竹山実は、サッポロファクトリー、中村記念病院、北見北斗病院等、私が子供の頃から不思議な見た目だなあ……と何気に思っていた地元の建物たちの建築家で。大人になってそれらや109が同じ人に作られたと知りへえ~となりました。
竹山実自身はコンセプチュアルでポストモダンな、インテリっぽい作風の人だと思いますが、109はご存じ日本を代表するギャルの聖地。世界観としてはなかなか逆というか。そのこと自体が面白いなあと思います。つまり109って日本で最も有名なポストモダン建築とも言えるのでは。
ちなみに109は最初は普通の大人向けの商業施設で、ギャルブランド特化のビルではありませんでした。それがなぜ今のような業態になったのか?の経緯も、『ガングロ族の最期』を読むと分かります。

少し前にサッポロファクトリーに映画を見に行った時に撮ったもの。