20161106

道化師



「あるるかん ―道化師―」 林海象/三上博史/篠山紀信

映画「二十世紀少年読本」の写真集です。この映画のあらゆる意匠が大好きなのでゲット。1989年刊。よく思うことだけれども、バブル時代のコンテンツって写真集であれ何であれ本当にお金がかかってるよね……。これもきちんと手のかかったきれいな本です。


いわゆる「少年系」「少年世界」的な世界観ってありますよね。そういうのを表す正しい言葉が分からないので勝手にザックリと便宜的にそう言っているのですが。こう、ビー玉な、硝子な、螺子な、時計な、アンティックな、鉱物な、錆的な、懐古的な感じ?この写真集もまさにそういう系統の雰囲気。映画より更にオブジェクト趣味的かもしれない。そしてこの時代的でもあると思います。



『むかしサーカスがありました。といっても遥かむかしのことでなく
二十世紀を生きていた少年たちの甘く切ない憧れの「三日月大サーカス」の物語。』




内容は映画のままピエロでサーカスで妖しい感じで、きれいなデザインも施されています。アンモナイトの機械に切手、コラージュ。
私は昔から一番好きな美術監督が木村威夫さんで、一番好きなメイクアップアーティストが渡辺サブロオさんで、最も気になるスタイリストの一人が伊藤佐智子さんなのですが、そのお三方が見事に揃っている映画でもあります。のでどこを見ても楽しいです。





ラマ「ファーゴ」を見終わりました。面白かった。
ラストのレスター(マーティン・フリーマン)のもはや笑うしかないような様が物悲しくて好きでした。行くべきではない、けれど時に人間が行ってしまう「あちら」と「こちら」を行き来したり垣間見たりする人たちの話だと思うのですが、レスターは周囲の声に耳を貸さずに「あちら」へ行ってしまう。迂闊さゆえに気づかぬうちに自分の足元に巨大なひび割れを作り、元へ戻れなくなる……という。それを雪国の自然を使って表現していて、なるほどなあと。
で、「自分のしたことに“足”を取られる」という意味ではマルヴォ(ビリー・ボブ・ソーントン)も同じラストを迎えるのだなあ。なんともよくできたドラマでありました。


お芝居ではビリー・ボブ・ソーントンとキース・キャラダインの、ダイナーでのピリピリするような攻防がすごかった!ビリー・ボブはドラマの間中ずっとナニ考えてるのか分からないヘンな人感が漂っているんだけど、この攻防の時だけは敵(キャラダイン)もさるものだと気づいて表情が人間っぽくなるんだよね。ほんの数秒。お芝居できる人ってすごいなあ。

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