20160408

硝子の菫を食べる春

そらく人生初のインフルエンザに罹りまして、一週間ほど寝てました。熱は39度とかになるんですが普通の風邪にあるような気持ち悪さとか腹痛がほぼなくて、なんだったら普通に生活もできなくはないという不思議な体験だった。とはいえ外には出られないのでただただ暇という。主症状が「暇」。今は元気です。





秋庵の半生菓子の「すみれ」。以前から食べてみたかったのですが、季節限定で時期を逃すと買えないものかと思っていたのです。注文したら作ってもらえました。知らなかった。お茶会に使うときだとかには注文するのが普通だかららしい。そうか。私はそんなちゃんとした使い方ではなく家でパクパク食べるだけなのですが、小さな懐紙みたいな紙と楊枝もつけてくれました。これも初めて見た。かわいい。
寒天のシャリサクっとした感じの食感で、ゼリーみたいな。お菓子で春を感じるのってよいですねえ。

千秋庵 上生菓子・半生菓子 水芭蕉とか早わらびとかモチーフがかわいい。千秋庵ってどの商品もすごく絶妙に素朴だなあと思います。



変わらずドキュメンタリー映画が好きで。

「ヴィヴィアン・マイヤーを探して」
私の好きな「人とカメラ」ものなのでもちろん興味深く見られたし、単純に面白い映画ではないかと。死後未発表の膨大な天才的な作品が発掘されたすごい女性だよ!というだけではなく、彼女の影の部分も距離を保ちつつ描いていてきちんとした映画になっていると思う。彼女をナニーとして雇っていた上流階級の人たちのインタビュー映像がある意味一番面白かったかも。アメリカの一面みたいなものが映し出されていて、それこそヴィヴィアン・マイヤーの写真的だったような。
構図があまりに上手いので多分ちゃんと写真の勉強をしていたんだよなあ。ため込んでいた膨大な古新聞も写真の参考に一役買っていたのかも。カメラが高級二眼レフのローライフレックスであることにも納得。あの写真ひとつひとつの高精細な迫力は良いカメラでないと実現できないものだと思う。もちろん才能ありきだけど、良い道具でこその成果ってあるよねえと改めて思ったり。

http://www.vivianmaier.com/ 主だった写真作品が見られます。思うに、彼女のフィルムを発見した監督のジョン・マルーフ氏とヴィヴィアンさんのセンスがそもそも近い気がする。二人ともさらりとおしゃれなものが好きなのではなかろうか。


「ナショナル・ギャラリー 英国の至宝」
長くて途中で微妙に気が遠くなったけど良い映画。芸術に人生をささげているスタッフたちの図抜けた知識量による説明をぼーっと聞いているだけでも単純に面白いです。
欧米は芸術とはこういう重大なものでこれほど慎重に扱い解釈していかなければならないものだ、という共通認識が一般レベルでもうはっきりと決定しているんだよなあと改めて思ったり。日本もそうあるべきなのかは私にはよく分からないけど、偉大な芸術作品を身近に楽しめる権利があるということは、同時に結構死ぬ気で芸術を学ばなければならない義務をも背負うってことかもなあ、などと思ったりしました。

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